競輪の級班とは?ボーダーや入れ替え制度&各級班の年収など

競輪の級班とは?入れ替え制度やS級・A級・L級の年収等を解説!

競輪選手は「級班」というクラス分けによって、実力に見合ったレースに出走します。

レースで良い成績を残すことが出来れば級班が上がっていき、高額賞金レースへの出走が可能。要は、選手にとって最も大切な収入に直結する訳です。

そこで今回は、競輪における級班とは何か?級班の入れ替え制度、S級・A級・L級の年収などまとめて解説します。

目次

競輪選手の級班とは

級班とは選手の実力を示す階級のこと。

競輪の級班はどのように分かれているのか、級班ごとの人数や級班の入れ替えについて順番に説明します。

級班はS級・A級・L級が存在

競輪の級班とは「競輪の級班」

競輪の級班はS級とA級に分かれており、S級が上位に位置しています。

S級は「S班・1班・2班」、A級は「1班・2班・3班」とそれぞれと3つに分けられた合計6段階。

S級S班を競輪界のトップとして、上から順番にS級1班、S級2班、A級1班、A級2班、A級3班と続いていき、クラスが上がるほどグレードの高いレースに出場できます。

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デビューした選手は例外なくA級3班からスタート

女子選手同士のレースが行われるガールズケイリンは「L級1班」のみ。デビューから引退するまで昇降級はありません。

S級・A級・L級の人数

級班人数
S級S班9人
S級1班211人
S級2班461人
A級1班502人
A級2班511人
A級3班502人
L級1班201人

2024年11月時点で競輪選手の人数は男性2196人・女性201人。合計2397人の競輪選手が在籍しています。

そんな中、最上位クラス”S級S班”に属せるのは9人の定員制。

その椅子を獲得するには前年の競輪グランプリ出場が必須条件。また、年末の競輪グランプリに出場後、翌1年間はS級S班として重賞レースの優先出場権などが与えられます。

級班入れ替えの時期

競輪の級班とは「級班入れ替えの時期」

競輪では「定期昇級」と呼ばれる級班の入れ替えが行われます。

STEP
級班の入れ替えは毎年2回実施
  • 前期:1~6月
  • 後期:7~12月
STEP
成績によってJKAが審査・決定

選手は半年間の競走得点や成績に対して、公益財団法人JKAが審査を行い、昇級・降級の有無が決定。

審査結果は期末の1~2ヶ月前に発表(例:2025年1月期の級班は2024年11月頃に発表)。

STEP
期が変わり新しい級班へ

新しい級班の入れ替えが行われる。

モト

級班入れ替えで、浮き沈みする人間ドラマにも注目だ

特別昇級とは?

特別昇級
  1. レインボーカップで3着以内
  2. 3開催連続で完全優勝(9連勝)

特別昇級は期の途中で昇級・昇班できる制度

レインボーカップ

毎年6月と12月には「レインボーカップA級ファイナル」と「レインボーカップチャレンジファイナル」が開催。

レインボーカップは予選のない単発レースとなり、期始めの3か月間(前期:1~3月、後期:7~9月)で平均競走得点が高かった9名が選抜されます。

そして、レインボーカップで3着以内に入った選手は即日昇級!

A級1班・2班の選手が出走するレースを「レインボーカップA級ファイナル」、A級3班の選手が出走するレースは「レインボーカップチャレンジファイナル」。A級ファイナルはS級2班へ、チャレンジファイナルはA級2班へ昇班します。

3開催連続で完全優勝

完全優勝とはA級で3開催連続で3連勝すること。

  • A級3班の選手は完全優勝でA級2班へ即日昇班
  • A級1・2班の選手は完全優勝でS級2班へ即日昇級

開催途中で9連勝しても完全優勝とはなりません。

デビューから18連勝するとA級から一気にS級へと昇級できます。

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過去には深谷知広(2008年)、寺崎浩平(2020年)がデビューから18連勝でS級入りしている。

級班の昇格条件・ボーダーなど

級班入れ替えでは多くの競輪選手の級班が変わります。

どのような条件で昇格となるのか、級班の変更が行われる条件について解説します。

S級S班への昇級条件

S級S班への昇格条件は「競輪グランプリ」への出場。

毎年12月30日に行われる競輪グランプリに出場すると、翌年の1月1日~12月31日までS級S班としてレースに出場することが出来ます。

競輪グランプリへの出場条件
  • GI勝利
  • 賞金獲得ランキング
  • オリンピックで金メダル獲得【特例】

競輪グランプリへの出場条件は主に2つ。

第一優先となるのはその年のGIを制覇すること。競輪では年間で6つのGIが行われます。

  • 読売新聞社杯 全日本選抜競輪
  • 日本選手権競輪
  • 高松宮記念杯競輪
  • 寛仁親王牌、世界選手権記念トーナメント
  • オールスター競輪
  • 朝日新聞社杯 競輪祭

上記GIのいずれかに勝利すれば競輪グランプリの出場資格を獲得。

6つのGIを異なる選手が勝利した場合、競輪グランプリの出場枠である9枠のうち6枠が確定します。GIを複数回勝利する選手がいた場合は、第二優先以降の出場枠が増えるかたちになります。

第二優先となるのは特別事例。

2024年はパリオリンピックが開催されましたが、競輪グランプリの出場資格として「自転車競技ケイリンでの金メダル獲得」という条件が付与されていました。

ただ、パリオリンピックでの金メダル獲得はなかったため、特例でのグランプリ出場者はいません。

上記で決まらない場合は、その年の11月末時点で賞金ランキング上位者に出場権が与えられます。

期別ごとのボーダーライン

S級1班、S級2班、A級1班、A級2班、A級3班は、期内の平均競走得点によって昇級班・降級班が決定します。

昇級条件や降級条件の判断基準となる平均競走得点は期によって多少の前後があります。

昇格条件

級班昇格ライン人数
S級2班105点前後50人前後
A級1班91点前後150人前後
A級3班73点前後90人前後

昇格に必要な競走得点は一定ではなく、全体の成績を考慮して、公益財団法人JKAが期ごとに競走得点を設定。

適正な人数が昇級できるように調整されます。

降格基準

級班降級ライン人数
S級1班105点前後50人前後
S級2班97点前後150人前後
A級1・2班80点前後120人前後

S級2班から昇級する人数とS級1班から降級する人数、A級1班から昇級する人数とS級2班から降格する人数は同数になり、級班の人数バランスをとっています。

代謝制度(強制引退)とは?

一定の期間で著しく低い成績を残してしまった競輪選手は「代謝(強制引退)」という制度が適用されます。

強制引退となる選手数は、年間で男性約60人・女性約6人。

男性選手とガールズケイリンでは代謝の基準が変わるため、それぞれの条件を解説します。

モト

当然、他のスポーツ選手のように体力や気力の衰えが原因で引退する選手もいるぞ

男子選手の代謝条件

  • 2期連続で平均競走得点が70点未満
  • 3期平均の平均競走得点が70点未満
  • 3期平均の平均競走得点下位30名

A級3班の男性選手は、上記3つの条件に該当すると代謝(強制引退)の対象に。

ただし、全て満たすことが条件となるため、仮に「2期連続で平均競走得点が70点未満」と「3期平均の平均競走得点が70点未満」であっても、成績下位30人をクリアしていれば現役続行可能です。

女子選手の代謝条件

  • 2期連続で平均競走得点が47点未満
  • 3期平均の平均競走得点が47点未満
  • 3期平均の平均競走得点下位3名

男子選手と同様に、上記3つの条件をすべて満たすと代謝(強制引退)。

ただし、ガールズケイリンはボーダーラインとなる平均競走得点が低く、選手数も男子の10分の1しかいないことから代謝対象の人数は3人に設定されています。

各級班の違い(条件・年収)

競輪における級班は「S級S班~A級3班」の7つ。級班によって出場できるレースや年収が変わります。

S級S班

S級S班の選手の平均年収は1億円以上。

2004年から競輪グランプリの優勝賞金が1億円となり、トップであるS級S班の選手の年収も一気に上昇しました。

近年は賞金ランキング1位の選手は年収2億円以上となっており、大金を獲得しています。

モト

トップ選手の凄さが分かる数字だね

S級S班の選手が出場するレースはGP・G1・G2・G3のみ。

通常GI・G2など格の高いグレードレースは、各競輪場での成績・ポイント・平均競走得点によって選考され、成績を認められた場合のみ出場可能。対して、S級S班はこれらの選考を無視して出場できます。

さらに、重賞レースはF1より競走得点が高く設定してあるので、より多くの得点を獲得しやすいのが特徴です。

制度上はF1にも出場できますが、ケガでの長期離脱などアクシデントがない限り、出場することは滅多にありません。

S級1班

S級1班の選手の平均年収は約1500~3000万円。

S級1班は全体の10%しかいない上位階級。S級S班に劣るとはいえ、競輪選手の平均年収(約1200万円)を軽く超えてきます。

モト

S級1班には年収5000万を超える選手も多数いるぞ。

S級1班の選手が出場できるレースはGP・G1・G2・G3・F1。

出場できるレースはS級2班と同じですが、GIやG2などグレードの高いレースへの出場資格権を獲得しやすく、施行者からも優先されます。

2024年に読売新聞社杯全日本選抜競輪を勝利した郡司浩平、日本選手権競輪を勝利した平原康多、高松宮記念杯競輪を勝利した北井佑季はいずれもS級1班の選手。

競輪グランプリを狙う実力者が揃っているクラスです。

S級2班

S級2班の選手の平均年収は約1200万円。

上位クラスの中でも末端に位置するS級2班。

S級2班の選手が出場できるレースはGP・G1・G2・G3・F1。年収1000万超えの選手が多数在籍しています。

規則上、グレードレースや競輪グランプリに出走は可能ですが、グレードレースへの出場権獲得はハードル高め。よって、ビッグタイトルを獲るのは困難な級班と言えるでしょう。

2024年でグレードレースを制した選手は3人のみ。

  • 関西万博協賛競輪(G3):橋本壮史
  • 関西万博協賛競輪(G3):金子幸央
  • 施設整備等協賛競輪(G3):山賀雅仁

いずれもG3での勝利となり、第一線で活躍するにはS級1班への昇格が求められます。

A級1班

A級1班の選手の平均年収は約800~900万円。

A級1班の選手が出場できるレースはF1・F2。

制度上はF2にも出場できますが、A級1班の選手は高い競走得点の獲得を狙うためF1に出場することが常で、「初特選」のような高得点を狙えるレースに出場する選手はほとんどがA級1班の選手。

2024年では半期に144人ものA級選手がS級へ昇級しており、競輪選手のキャリアを決める重要な階級です。

A級2班

A級2班の選手の平均年収は700~800万円。

A級2班の選手が出場できるレースはF1・F2。

A級1班の選手と同様にF1に出場するため、今まで戦っていたF2よりもレベルの高いレースへの順応力が問われます。

A級3班

A級3班の選手の平均年収は約600万円。

A級3班の選手が出場できるレースはF2のみ。

デビューしたての選手は全員A級3班からのスタートとなりますが、A級3班で成績が低迷すると代謝(強制引退)させられる厳しい階級です。

L級1班

L級1班の選手の平均年収は約600万円。

ガールズケイリン選手の級班はL級1班。ガールズケイリンは昇級・降級がなく、ラインもないため、実力差が結果に反映しやすい傾向にあります。

選手賞金
佐藤水菜29,038,000円
児玉碧衣25,343,500円
久米詩25,177,500円
坂口楓華21,794,500円
尾方真生21,677,000円

上記は2023年ガールズケイリンの賞金ランキングトップ5。

男子と比較すると見劣りする額ですが、それでもトップ層の選手たちはそこそこ稼いでいます。

まとめ

ここまで以下について解説しました。

  • 競輪の級班システム
  • 級班の入れ替え制度
  • S級・A級・L級の年収など各級班の特徴

2000人を超えるプロの選手がしのぎを削る厳しい競輪の世界。級班の仕組みを理解しながら、レースと予想を楽しんでください。

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