競輪のS級S班とは?昇格条件や年収&歴代選手・最年少記録など

競輪のS級S班とは?昇格条件や年収&歴代選手・最年少記録など

S級S班は2000人を超える競輪選手の中でも、たった9人しか入れない最高上位階級。要は、今最も好成績を残している最強レーサーといっても過言ではないでしょう。

そこで今回は、S級S班の昇格条件をはじめ、S班在籍時の平均年収や歴代選手など、競輪を語るうえで欠かせない情報を解説します。

モト

そもそも”競輪の級班”を理解していない方は以下の記事からどうぞ。

目次

競輪のS級S班とは?

競輪選手の最高位「S級S班」に在籍できた場合、他の級班とはけた違いの優遇処置が受けられます。

ただ、辿り着けるのは全体の0.003%。それ相応の厳しい条件が設けられており、その頂きを突破しない限り到達することはできません。

はたして、どんな条件が待ち受けているのか?

S級S班の制度開始はいつ?

S級S班が創設されたのは2008年

S級S班が創設された理由は、レースでのパフォーマンスのみならず、広報活動に繋がるスター選手を生み出すため。

競輪が始まったのは1948年11月の小倉開催。

その後、住之江競輪場、大宮競輪場で開催されていき、1949年に19ヶ所、1950年は35ヶ所と広がっていき、GIレースも次々と設立されました。

1983年当時の級班は「S級・A級・B級」の3つ。そんな中、2002年にB級が廃止され、現在のS級・A級に分けられた2階級制へと変わっています。

S級S班への昇格条件

S級S班への昇格条件は「競輪グランプリ」への出場。

毎年12月30日に開催される競輪グランプリに出場すると、翌年の1月1日~12月31日までS級S班としてレースに出場することが出来ます。

競輪グランプリへの出場条件
  • GI勝利
  • 賞金獲得ランキング
  • オリンピックで金メダル獲得【特例】

その年のGIを勝てば優先的に競輪グランプリに出場できます。競輪では年間で6つのGIが行われます。

  • 読売新聞社杯 全日本選抜競輪
  • 日本選手権競輪
  • 高松宮記念杯競輪
  • オールスター競輪
  • 寛仁親王牌、世界選手権記念トーナメント
  • 朝日新聞社杯 競輪祭

上記GIを制した6人は自動的にグランプリ当確。残りの3人は、1~11月までの獲得賞金ランキング上位3人が出場権を獲得します。

仮に同じ選手がGIを複数優勝した場合、賞金ランキングで出場できる枠が増加。また、特例として以下の条件を達成した場合も出場可能です。

  • オリンピックの個人種目メダリスト
  • 世界選手権の個人種目優勝者
モト

2008年の北京オリンピックメダリスト永井清史選手は推薦枠で出場したぞ

S級S班在籍時のメリット

S級S班のメリット
  • GI・G2レースへの優先出走権
  • 初日特選シード
  • あっせん計画の提示
  • 休み期間の取得
  • 公共交通機関の負担

S級S班には様々なメリットが用意されています。

GI・G2レースへの優先出走権獲得

GI・G2のグレードレースは、各競輪場の成績・ポイント・平均競走得点によって選考され、成績を認められた場合のみ出場可能。

対して、S級S班はこれらの選考を無視して出場でき、F1レースへの出走が不要。事実上グレードレースのみの出走となります。

この優先権により、レースで得られる賞金・競走得点を得やすい状況に。

初日の特選シード獲得

S級S班の選手はGI・G2・G3開催の際、原則として初日の特選シードを獲得。

予選のレース数が少ない分、二次予選・準決勝・決勝へ行ける可能性が高くなり、出場した開催で上位の成績を残しやすくなります。

あっせん計画の提示

S級S班の選手は自身があっせんを希望する場合、希望届を開催元に提出することが可能です。(出走は確約ではない。)

休み期間の取得

選手自身が希望した場合、年間1回および最長で1ヶ月の休み期間を設定可能。当然ながら、休み期間は無収入となります。

公共交通機関の負担

競輪選手はレース会場までの交通費を自己負担するのが基本。しかし、S級S班は公共交通機関を使った交通費は支給されます。

S級S班の年収(獲得賞金)

選手獲得賞金
2023松浦悠士252,707,900円
2022脇本雄太305,842,300円
2021古性優作210,561,000円
2020和田健太郎163,064,800円

S級S班の選手の平均年収は1億円以上

上記は2020年代の賞金ランキング1位の獲得賞金。

競輪グランプリをはじめ、GI・G2レースは賞金も高額。競輪選手は平均年収1200万円と言われている中、S級S班の平均年収は1億円を超えます。

ちなみに、年間獲得賞金の歴代1位は、脇本雄太が2022年に記録した「3億584万2300円」。

同年の脇本は3つの重賞(日本選手権競輪・オールスター競輪・KEIRINグランプリ)を制し、競輪史上初の3億円を突破しました。

モト

3億円の突破は、競輪史上最高だけでなく、公営競技歴代1位まで更新。

S級S班のレーサーパンツとは?

競輪のS級S班とは?「S級S班のレーサーパンツ」

S級S班のレーサーパンツは「赤をベースとした地に黒いライン、白い星が7つ」というデザイン。そして、黒いラインの横には「SS CLASS KING OF KEIRIN」という文字が刻まれています。

ファンが一目で”S級S班の選手”だと認識しやすくするために新調され、S級1班以下の選手との差別化が行われました。

競輪のS級S班とは?「レーサーパンツ」
級班特徴
S級S班赤地に黒ライン、7つの白星
S級1・2班黒地に赤ライン、7つの白星
A級黒地に緑ライン、7つの白星

参考までに、競輪のレーサーパンツは「S級S班・S級1,2班・A級」の3種類に分かれています。

S級S班の歴代選手・最年少&最年長選手など

競輪選手にとってS級S班に所属することは、トップレーサーの証であり名誉なこと。

並外れた実力を持つ選手だけが、到達できるS級S班に在籍した選手について調べてみました。

S級S班に在籍した歴代の競輪選手

選手名
2024年古性優作・佐藤慎太郎・清水裕友・新山響平・眞杉匠・深谷知広・松浦悠士・山口拳矢・脇本雄太
2023年郡司浩平・古性優作・佐藤慎太郎・新山響平・新田祐大・平原康多・松浦悠士・守澤太志・脇本雄太
2022年郡司浩平・古性優作・佐藤慎太郎・清水裕友・平原康多・松浦悠士・守澤太志・宿口陽一・吉田拓矢
2021年郡司浩平・佐藤慎太郎・清水裕友・新田祐大・平原康多・松浦悠士・守澤太志・脇本雄太・和田健太郎
2020年郡司浩平・佐藤慎太郎・清水裕友・新田祐大・平原康多・松浦悠士・中川誠一郎・村上博幸・脇本雄太
2019年浅井康太・清水裕友・武田豊樹・新田祐大・平原康多・三谷竜生・村上博幸・村上義弘・脇本雄太
2018年浅井康太・桑原大志・武田豊樹・新田祐大・平原康多・深谷知広・三谷竜生・諸橋愛・渡邉一成
2017年浅井康太・稲垣裕之・岩津裕介・武田豊樹・中川誠一郎・新田祐大・平原康多・村上義弘・渡邉一成
2016年浅井康太・稲垣裕之・神山雄一郎・園田匠・武田豊樹・新田祐大・平原康多・村上義弘・山崎芳仁
2015年浅井康太・稲川翔・岩津裕介・神山雄一郎・武田豊樹・平原康多・深谷知広・村上博幸・村上義弘
2014年浅井康太・金子貴志・後閑信一・長塚智広・成田和也・新田祐大・平原康多・深谷知広・村上義弘
2013年浅井康太・岡田征陽・佐藤友和・武田豊樹・長塚智広・成田和也・深谷知広・村上義弘・山崎芳仁
2012年浅井康太・佐藤友和・武田豊樹・長塚智広・成田和也・深谷知広・伏見俊昭・村上義弘・山口幸二
2011年市田佳寿浩・海老根恵太・大塚健一郎・加藤慎平・神山雄一郎・坂本亮馬・佐藤慎太郎・佐藤友和・武田豊樹・成田和也・新田祐大・兵藤一也・平原康多・伏見俊昭・村上博幸・村上義弘・山口幸二・山崎芳仁
2010年浅井康太・石丸寛之・市田佳寿浩・海老根恵太・加藤慎平・神山雄一郎・小嶋敬二・武田豊樹・永井清史・成田和也・平原康多・伏見俊昭・村上博幸・村上義弘・山口幸二・山崎芳仁・山田裕仁・渡邉晴智
2009年石丸寛之・井上昌己・海老根恵太・岡部芳幸(追加)・神山雄一郎・合志正臣・小嶋敬二・佐藤友和・紫原政文・武田豊樹・手島慶介・永井清史・新田康仁・平原康多・伏見俊昭・三宅伸・山口幸二・山崎芳仁・渡邉晴智
2008年荒井崇博・有坂直樹・飯嶋則之・岡部芳幸・神山雄一郎・小嶋敬二・佐藤友和・鈴木誠・手島慶介・遠澤健二・豊田知之・新田康仁・兵藤一也・平原康多・伏見俊昭・山崎芳仁・渡部哲男・渡邉晴智

2008~2011年はS級S班の枠が18人。2009年は手島慶介が1月に急逝したことで、同年5月に岡部芳幸選手がS級S班入りしています。

オリンピック出場経験のあるS級S班選手

開催地選手
2024年パリ出場なし
2021年東京新田祐大
脇本雄太
2016年リオ中川誠一郎
脇本雄太
渡邉一成
2012年ロンドン中川誠一郎
新田祐大
渡邉一成
2008年北京永井清史
長塚智広
伏見俊昭
渡邉一成

成績は以下の通りです。

2021年東京オリンピック
  • 脇本雄太 7位(男子ケイリン)
  • 脇本雄太 9位(男子スプリント)
  • 新田祐大 16位(男子ケイリン)
  • 新田祐大 26位(男子スプリント)
2016年リオデジャネイロオリンピック
  • 脇本雄太 13位(男子ケイリン)
  • 渡邉一成 21位(男子ケイリン)
  • 中川誠一郎 25位(男子スプリント)
2012年ロンドンオリンピック
  • 中川誠一郎、新田祐大、渡邉一成 8位(チームスプリント)
  • 中川誠一郎 9位(男子スプリント)
  • 渡邉一成 11位(男子ケイリン)
2008年北京オリンピック
  • 永井清史、長塚智広、渡邉一成 6位(チームスプリント)
  • 永井清史 3位【銅メダル】(男子ケイリン)
  • 伏見俊昭 1回戦敗退(男子ケイリン)

2021年に出場した脇本雄太・新田祐大、2008年に出場した伏見俊昭はS級S班在籍中にオリンピック出場。その他の選手はオリンピック当時S級S班所属ではない状態での出場です。

モト

日本のトップ選手なら優勝できそうなものだけど。世界のレベルって半端ないんだな…

オリンピックにはS級S班所属ではない選手も出場しています。プロの競輪選手でオリンピックに出場した選手も記載します。

開催地男子女子
2024パリ太田海也
小原佑太
窪木一茂
中野慎詞
橋本英也
内野艶和
太田りゆ
佐藤水菜
2021東京橋本英也小林優香
2016リオ窪木一茂
2012ロンドン出場なし前田佳代乃
2008北京北津留翼

オリンピックの自転車競技は競輪選手も出場しています。

最年少選手「深谷知広」

最年少のS級S班選手「深谷知広」
S級S班所属選手(当時の年齢)
2012年深谷知広(22歳)
2013年深谷知広(23歳)
2014年深谷知広(24歳)
2015年深谷知広(25歳)
2024年眞杉匠(25歳)
2019年清水裕友(25歳)
2008年佐藤友和(25歳)
2011年新田祐大(25歳)

上記はS級S班に所属した最も年齢が若い選手。

歴代最年少記録は、平成の怪物と呼ばれた「深谷知広」の22歳。

デビューから6開催連続優勝を果たしS級へ昇級。2011年には最短でGI(高松宮記念杯競輪)を勝利し、22歳という若さにしてS級S班に昇格しました。

最年少ランキングは上位3位まで深谷知広選手が独占。この記録が更新されることはないかも。

歴代最年長選手「神山雄一郎・佐藤慎太郎」

歴代最年長のS級S班選手「神山雄一郎・佐藤慎太郎」
S級S班所属選手(当時の年齢)
2024年佐藤慎太郎(48歳)
2016年神山雄一郎(48歳)
2023年佐藤慎太郎(47歳)
2015年神山雄一郎(47歳)
2021年佐藤慎太郎(45歳)
2018年武田豊樹(45歳)

上記はS級S班に所属した選手の最年長ランキング。

競輪界のレジェンド「神谷雄一郎」と、43歳にして競輪グランプリを制覇した「佐藤慎太郎」の2人。48歳にしてS級S班所属という記録を保持しています。

佐藤慎太郎が初めてS級S班に所属したのは2011年で、2回目に所属を果たしたのが9年後の2020年。その後も最前線で活躍を続ける化け物ですw

在席期間が最も長い選手

在席期間が最も長いS級S班選手「平原康多」
選手名在籍回数
平原康多14回
武田豊樹10回
浅井康太9回
新田祐大9回
村上義弘9回

上記はS級S班での所属回数の多い選手。

平原康多はS級S班が発足した2008年にS級S班入り。その後もコンスタントにS級S班入っており、在籍期間では圧倒的な長さを記録しています。

まとめ

競輪界の頂点に君臨するS級S班について解説しました。

S級S班は2000人以上いる競輪選手の中で、たった9人しか所属することが出来ない特別なクラス。それゆえ、厳しい昇級条件が設けられていますが、S級S班に所属できた選手は多くのメリットを享受できます。

モト

時代を彩るS級S班のスター選手に注目するのも競輪の醍醐味!

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